翼をなくした天使達
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「あー面倒くせぇ」
さっきから同じ事しか言わない蒼井「はいはい」
と返すのも疲れてきた。
「ってかさ、3ヶ月振りの学校なんだから気合い入れなよ」
「はっ。気合いとか死語だわ」
蒼井は目覚めてから脳への後遺症もなくて手足の痺れも残らなかった。退院してからも何回か通院しなきゃいけないらしいけど、この通り今日から学校にも通えるようになった。
……それなのに蒼井は大あくびでやる気なし。
「明日は待ち合わせ時間に遅れないでよね?
私まで遅刻するじゃん」
「うるせーな」
もう、蒼井の進級がマジでヤバいからこうして遅刻しないように登校して、ちゃんとサボらないか教室まで送り届けようとしてるのに。
でもそれを言ったら「うざい」だって。まったく。
「あ、そういえばずっと聞こうと思ってたんだけど、向こうの世界で蒼井はあの後どうしたの?」
あの後とは勿論、屋上で私が消えてから。
「あー、結局押さえてたドア壊されて濱田の野郎に押し潰された」
「はは」
「笑い事じゃねーし」
ですよね。でもあんな蒼井初めて見たから、
きっと蒼井も私を元の世界に戻そうと必死だったんだろう。
「まぁ、お前が消えてもあの世界は消えなかった
。もしかしたら妄想なんかじゃなくて本当にあったのかもな」
「うん、私もそう思う」