翼をなくした天使達
「はぁ……はぁ…」
マラソンは学校の回りを一周して約1キロちょっとあるらしい。体育の先生は悠々自適に自転車でみんなの後を付いて行ってるけど出来ればその後ろに乗せて欲しい。
辺りが田んぼだらけだから景色が変わらず進んでる気がしないし、すでにわき腹が痛い。
美保は遥か遠くにいてまだ話す余裕すら感じられる。
……はぁ……雨は嫌いだけどマラソンやるぐらいなら晴れなくていいのに。
そんな事を思いながら走っていると途中にある踏切の近くで誰かがうずくまっていた。
「橋本さん?」
私が足を止めると橋本さんは気分が悪そうにこっちを見た。
「どうしたの?大丈夫?」
「うん。ちょっと目眩がして……」
辺りを見渡しても人がいない。
「少し脱水症状になってるのかな。朝ごはんは食べてきた?」
「今日はまだ何も…」
こんな時に先生は何をやってるんだろう。先頭集団を追いかけてる場合じゃないのに。
「ちょっと立てる?あの木陰に移動した方が……」
「あれれ~?なにしてんの?」
橋本さんの腕を支えようとした時、同じ体操着の人達が後方から歩いてきた。