翼をなくした天使達
「蒼井は私と落ちた記憶本当にあるの?」
そっちの方が疑わしい。
「あるから言ってんだろ。ボケ」
また目付きが怖いけどめげたりしない。
「私達死んだの?」
「さぁ」
「ここは死後の世界なの?」
「さぁ」
「そもそもなんで私と蒼井が屋上から一緒に落ちたの?」
「………さぁ」
同じ返事でムカつくけど3番目の質問の返しには間があった。絶対なにか隠してそう。
「ここが別の世界だって証拠はある?だって私ずっとここで暮らしてきたんだよ?保育園も小学校も中学校も高校だって……」
「それお前が作った妄想じゃね?」
「はい?」
「俺はお前と屋上から落ちて気付いたら学校にいて、それでお前は普通に授業受けてるしとりあえず様子見で2日過ごしたけどやっぱりおかしいから確かめに行ったんだよ。それがあの雨の日」
あー、だから第一声が〝お前まだなんにも思い出さねーの?〝だったのか……って、そんなんじゃ納得できませんけど。
「なにがおかしいの?じゃ聞くけど蒼井がいたっていう世界とこっちの世界とでなにが違うの?」
私が育ってきた今までの思い出が全部妄想?
そんな事あるはずがない。