翼をなくした天使達
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その日の夜、私は自分の部屋で写真を見返していた。
可愛いフォトブックに貼られた友達との写真や家族写真。コルクボードに貼ってあるものは日に日に増えていってみんな笑ってる。
この思い出が全て私の妄想?
私は深いため息をつきながらベッドにうずくまった。
あぁ、どうしてこんな気持ちにならないといけないんだろう。
あいつが現れるまでは毎日満たされていて悩みも不安もなくて気持ちだって穏やかだった。それなのに最近の私は胸に針が刺さったみたいにチクチクする。
─────コンコンっ。
その時部屋のドアがノックされた。
「あかり。これ洗濯物」
綺麗に畳まれた私の洋服をお母さんが持ってきた。
「ねぇ、お母さん。最近なんか変わった事とかある?」
「変わった事?急にどうしたの?」
ゴロゴロしている私に代わってお母さんはその洋服をクローゼットにしまってくれている。私の部屋の全て把握しているお母さんは過保護というより私がそれに甘えているのだ。
「うーん。理由はないんだけど……最近急に変わった人とか変だなって思う人とかいないかなって」
「そんな人いるわけないでしょ」
………だよね。ってか私もそんな人いないと思ってるんだけど蒼井が変な事言うから……。
「もう熱でもあるんじゃないの?あ、明日天気予報雨だから窓閉めて寝なさいね」
梅雨でもないのに雨多すぎ。ただでさえ気分が落ちてるっていうのに。
「あ、そういえば私の可愛い傘知らない?この前使おうとしたんだけど見当たらなくて」
「可愛い傘?そんなの持ってた?」
「え、ほら!黄色とオレンジの小花柄のやつ!前に買い物行った時私がさしてたでしょ?」
「そんなの知らないわよ?」
「え……」