翼をなくした天使達
夕飯もお風呂も済ませて部屋でゴロゴロしているとトントンとドアをノックする音が。
「はーい?」
「お父さんだ。開けるぞ」
遅くなると言っていたお父さんはさっき帰ってきたばかりで洋服もスーツのままだった。
「風邪気味なんだって?熱は?」
「風邪ってゆーか体が少しだるいだけ。熱もないし早めに寝るから大丈夫だよ」
お父さんはかなりの心配症で私が手を軽く切っただけで病院に行こうと慌てるぐらい。たぶん一人娘だし可愛いんだろうなぁと自分で言ってみる。
「そうか。念のため風邪薬を飲んで寝なさい」
「はーい」
「あ、それと」
「?」
またゴロゴロしようとしていた私の体勢が再びお父さんに向く。
「さっきうちの周りをウロウロしてる不審な人がいたからあんまり1人で出歩くなよ。最近物騒な事件も多いし」
不審な人?そういえば先生も不審者には気を付けろって言ってたっけ。
「暗くて顔は見えなかったけど若そうな男だったよ。帰りは友達と帰ってくるか時間を合わせてお母さんに迎えにきてもらいなさい。何かあると心配だから」
そんなお父さんを逆にこっちが大丈夫だからとなだめて部屋のドアは静かに閉まった。