翼をなくした天使達
「うるさいな。どうせさっさと教室行けとか思ってんでしょ?」
「おぉよく分かったな。俺ウジウジ考えてる奴嫌いなんだよね。普通にぶっ飛ばしたくなる」
「………」
出た出た。
私はちょっとだけ蒼井を庇った事あるのに本人は優しさの欠片もない。私に力があったら私こそぶっ飛ばしてやりたいんですけど?
「あのさ、その嫌いとかはっきり言うのやめなよ」
「は?なんで?」
「なんで?普通は思ってても言わないでしょ?昨日は濱田先生にも言ってたし何か理由があったとしてもオブラートに包むとかさぁ」
「はは、オブラート」
駄目だ。蒼井と話してると血圧が上がる。
最近はただの嫌な奴じゃないのかも……?って思ってたのにマジでこいつは嫌な奴!マジで訂正する!
「蒼井は人の気持ちとか分かんないの?言ったら傷付くかなとか気にするかなとか」
「お前が気にしすぎなだけじゃね?だから言いたい事も言えねーんだろ」
言えないよ。いつも周りの事気にしてるよ。
それが普通だよ。
「誰だって嫌われたくないじゃん。だから言いたくても言えないんだよ。蒼井は人から嫌われる事が怖くないの?」
「全然。勝手に嫌いになってく奴らなんてどうでもいいだろ」
「どうでもよくないよ。ひとりになったら学校なんて地獄だよ。私は蒼井みたいに強くない」
昨日自分がした正義感。
散々悩んで迷ってもう知らん顔は嫌だからと決めてやったのに、いざ学校に来ても教室に行く勇気もない。
本当に蒼井の言う通り中途半端。
「勝手にいなくなってく奴らなんて追いかけるなよ馬鹿。そんなのお前から捨ててやれ」
いつまでもウジウジしている私が嫌だったのかそう吐き捨てて蒼井は先にどこかに行ってしまった。