翼をなくした天使達

●嘘つき





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



あれから数日が経って私は今日も普通に学校へ通っている。

「おはよう、あかり~」
「ねぇねぇ昨日の話しだけどさ」

昇降口から教室に着くまでの間、私に声をかけてきたのは8人。友達も沢山いて目立つわけでも目立たないわけでもない良い感じのポジションに私はいると思う。


───「ねぇ、蒼井。私向こうの世界で………
いじめられてた?」

あの時、恥ずかしいぐらい私の声は震えていた。

何度も聞こえてきた嫌な声。それは全部私に向けられたものだった。

私は勇気を出して聞いたのに蒼井の返答は「しらね」とたったの3文字だけ。

確かに蒼井は私の名前も知らなかったって言ってたし恐らく現実世界で関わりはなかったのかもしれないけど、

それでも同級生だし同じ学校だし何か目撃したとか、それらしい事があったとか、あの記憶に関する事を聞きたかったのに蒼井の答えはやっぱり
「知らない」だった。

そもそも私の事を詳しく知ってたら記憶を思い出す以前に蒼井が口頭で言えばいい話しで……

そう考えると蒼井は本当に何も知らないんだと思う。

だけど、それならどうして私達は一緒に屋上から落ちる事になったんだろう?

名前も知らないのに同じタイミングで落ちるとかそんな事あり得る?何かハプニングがあって落ちたとか?それとも誰かに落とされた可能性はある?

ウジウジしてる人は嫌いで、いつもはっきり物事を言う蒼井だけど1度だけ………

〝どうして私と蒼井は屋上から落ちたのか゛

この質問だけはあいつ…嘘をついた気がする。


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