翼をなくした天使達


それからどのくらいの時間が過ぎたのだろう。

辺りはすっかり真っ暗だし公園の外灯も明かりが付き始めた。光に群がる虫をぼんやり見つめてため息を繰り返す。

スマホは役立たずだし公園の時計は止まってるし、いま何時なのか分からない。

……でもいいか、時間なんて。


「君ここでなにしてるの?一人かな~?」

フラフラと歩いてきたのは中年のサラリーマン。

「寂しいならおじさんと遊ぼうよ。それともお金が欲しい?どうしようかな~。君になら3万出してもいいよ」

酔っぱらってるのかなんなのか、とにかく気持ち悪い。

「どうしてシカトするの?もしかして焦らしてる?おじさんいい場所知ってるから早く行こうよ」と手が私に触れる寸前、

「痛たたたたっ!」と突然おじさんが声を上げた。


「うぜーから消えろ」

「だ、誰だ君は」

「早くしないとまじで腕折るからな」

「ヒィィィ」

おじさんは顔面蒼白で逃げていった。

……あれ?ぼんやりし過ぎて蒼井の幻覚が見える。なんか怖い顔してるし目付きが悪いのはいつもの事だけど……って

「痛い痛い痛い!!」

私は蒼井に頬をつねられた。

「ぼーっとしてんじゃねーよ。ブス」

間違いない。本物の蒼井だ。

よく見ると走ってきたのか少し息が荒かった。
もしかして私があんな電話をしたから探してくれたの?

いや、でもあの蒼井に限ってそんな事は………

「お前さ、場所くらい言ってから電話切れよ。そのあと繋がらねーしまじで手間かけさせがって」

「え、えっと……電池切れで…」

「あ?使えねースマホだな」

どうやら本当に私を探し回ってくれたらしい。


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