翼をなくした天使達



その日の昼休み、私は非常階段でお弁当を食べていた。教室には居づらいし美保がいないと私は一人も同然。

さっきこっそり濱田先生に会ってアンケートの話をされたけど、いじめがあるとはっきり答えた人はひとりも居なかったって。

とゆーかほぼみんな一行程度の答えでいじめについては他人事。無記名だから誰が書いたか分からないけど『みんな仲良し』とふざけた絵付きのアンケートは恐らく沙織。

沙織の書く字には特徴があるからよく分かる。

結局私がした事は橋本さんの状況を悪化させただけかもしれない。いじめなんて簡単にはなくならない。

そもそも私が首を突っ込む話ではなかったのだ。


「あのさ、いらないならそれ食っていい?」

隣でバクバクとパンを4つ食べた蒼井はまだ足りないらしく私のお弁当を指差している。

「あぁ、いいよ。はい」

食欲がない。ってか途中で蒼井とすれ違ったのは気付いたけどなんで付いてきたの?今はあんまり誰とも話したくない。

「なんか噂になってたけど。いじめのアンケート配られたクラスがあるとかなんとか。お前のところ?」

そうだよ。ってかなんでみんな自分の事じゃないとなんでもかんでも祭りごとみたいにはやし立てたがるのかな。

「なに?こんな所で飯食ってるって事はとうとうぼっちになっちゃったの?」

「……」

こいつは相変わらずデリカシーないし。


< 81 / 196 >

この作品をシェア

pagetop