翼をなくした天使達
●現実と狭間
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『ねぇ、あかり。それって自分でやってる?』
ある日の休み時間、私のフリスクケースをまりえが指差した。
『あーうん。この前暇だったからさ』
『まじ?すごっ!今度私にも作ってよ』
それはスワロフスキーでデコったケース。元々可愛い物は好きだったけど一度やり始めたらハマっちゃって、それからは私物を暇な時にデコったりしてる。
『そういえばあかりに借りたDVD見たよ。めちゃくちゃ面白くて2回も見ちゃった』
『でしょ?』
まりえとは趣味も性格もなんとなく似ていてすぐに打ち解けた。
『今日うちに取りにくる?そのまま泊まってもいいよ』
『でもまりえの寝言うるさいし…』
『ちょっとそれは言わない約束でしょ!?』
何もかもが順調だった。
下の名前で呼び合う事もおそろいの物を買いに行ったのも、泊まりに行ったのもまりえが初めて。
まりえの見た目は派手で学校でもクラスでも目立っていたけど、私はいつもその隣にいた。