翼をなくした天使達



『え?あかりなにしてるの?』

『さすがにやり過ぎだよ。市川さんが可哀想だよ』


だから私は市川さんを助けた。

この日も市川さんは教室でまりえにゴミ箱を投げられていた。中に入ってた生ゴミを食べろと命令するまりえに私は『やり過ぎだ』と言った。

まりえとは友達だし学校を出れば好きな所も沢山あるけど、今のまりえは私の知ってるまりえじゃない。

まるでストレス解消のように市川さんをいじめて、その顔が悪魔に見えた日もあった。

『こんな事もうやめなよ。まりえそんな事する人じゃなかったでしょ?いじめなんてやめて楽しく学校生活送ろうよ。ね?』

誰かが止めないといけない。

私はまりえの友達だから元に戻って欲しいし、
ちゃんと言えば必ず……………


『あかり。あんたってそうゆう所あるよね』
『え?』

バンッ!と持っていたジュースの缶を投げられてそれは私の頬をかすめた。

一瞬何が起きたか分からなかったけど今それを私に当てようとした?そんな硬いの当たったら怪我する………と、まりえを見返すとその目はナイフのように鋭かった。

『あんたさ、最初は自分も笑ってたくせに今さら何?ヤバくなるとすぐ手のひら返して自分は関係ありませんって顔をする』

『……』

『まじうざいよ』

ドクンドクンと心臓がうるさい。

天地がひっくり返ったみたいに頭がグチャグチャ。だけどひとつだけ分かるのは………

まりえの標的が私に代わったって事。


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