翼をなくした天使達
───『前から思ってたんだけどあかりってうざいよね』
市川さんを庇った次の日から私の地獄が始まった。
靴を隠されてプールに捨てられたり、男子にゲームで告白されて笑われたり、毎日毎日苦しくて心がどんどんすり減っていった。
───『ってか同じ空気吸ってんのも嫌だ。消えてくれないかな?』
私を否定する言葉の数々。それは言霊のように本当に自分が価値のない存在だと思えるほどだった。
───『ねぇ、市川もあかりの事うざいよね?
普通にキモいよね?だったらちゃんと言わないと、ね?』
そして助けたはずの人にまで傷つけられた。
『うざい、キモい』と言いなりになる市川さん。
きっと断ればまた自分がいじめられると思ったのだろう。
私の正義は間違っていたんだ。
今だって同じ事をして空回りして、私はなにひとつ学んでないし成長してない。
「私ずっと助けたこと後悔してた。あんな事勢いだけでやるんじゃなかったって」
それからの日々なんて思い出したくもない。
消えろとかキモいとか散々言われて、空気になってみんなから見えなくなれたらどんなに楽だろうと思ってた。
「蒼井はなんでずっと隠してたの?」
「……なにが?」
思い出したのはいじめの事だけじゃない。
もっと苦しくてもっと責めたくなるような出来事。
「私がここで自殺したって事」