きっと、八月の終わる頃

何処

"そうして私の『日常』は始まったのだった"

「じゃなーい!」

まだ何も始まってないよ、歩き出してすらないよ、亀も驚くくらいのスロースタートだよ

あ、驚いて進んでもなかったわ逆に後ずさっちゃったからね

「…ていうか、ここ何処なの?寝る気満々だったのに!あ、これ夢?夢なのかな!?ほんっとに綺麗な空だよね!なんか腹立ってきたな、ぁあ!?」

ここがどこか探るべく、歩き出した私だったが足元を見ていなかったために、ぬかるみに足を滑らせ転倒…

する前に近くの木に捕まる事が出来たからよかったが、すこし挫いたかもしれない

「う〜ん…どうするかなあ、誰か人がいればいいんだけど」

兎にも角にも、1人じゃ何もできないからこと林を抜けたい

「あ、10円みーっけ」

おかしいな、10円玉だと思ったのにちょっと大きいしなんか違う

けど、人工物っぽいから持っておこう

人はいるってことだもんね

「お?これは…草履?」

え、あっちに人!人発見!

「あの…すみませーん、ここは何処ですか?…すみませーん…おーい」

あ、あれ、人じゃないのかな、でもあれ手だよね

木で隠れてるからよく見えないけど…手だよね?

よし、もっと近くで

「すみません!」

「びっっ…くりしたあ!!」

近くに寄って話しかけると、その人は4、5センチ飛び上がって驚いた

「ご、ごめんなさい!驚かすつもりはなかったんです、何度も声をかけたんですけど…」

そうだったのか、と目を見開き立ち上がったのは頭一つ分は優に超えるであろう長身の男性だった。

「えーと、僕に何か用かな」

「ここはどこでしょうか」

「…は?」

また大きく目を見開き手に持っていた巾着を落としてしまう

「お、落ちました…あ」

拾おうと手を伸ばした先には、今自分のポケットの中に入っている10円玉(仮)が沢山あった


< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop