君は知らない
中学卒業から数ヶ月。
新しい土地に移り高校生となった俺はバイトを始めて彼女も出来た。
彼女とは周りの友達に薦められてその場のノリで付き合いだした。
可愛い子だったから連れて歩くには最適だったけど好みじゃなかった。


それに心の中には光がいたから彼女とはただ"するだけ"の相手だった。

彼女もまた他に男がいた。

俺は貯めたバイト代を光に会う為に費やした。
まぁ正確には物陰から見て満足してるだけなんだけど…
両親には中学時代の友達に会いにいくという目的で祖父母の家に泊まりに行っていたけど本当は光の様子を聞きに行く為、光に一目でも会いたくて光と同じ高校の奴と会っていた。

途中、友達に俺の気持ち気付かれてしまったけど…

でもそのお陰で光と一緒にグループで会う機会作ってくれて感謝してる。

光に彼氏が出来て、会う事は出来なかったけど俺の気持ちは伝わっているはずだ。

結局光とは中学卒業以来、会う事はなかったが俺の気持ちが少しでも彼女に届いていたらそれで良かった。


光に彼氏が出来て俺の長い片思いも終わりを迎えた。

あれからもう10年以上は経っているけど光は相変わらず変わらない。
危なっかしさも可愛らしい仕草も背のたかさも童顔も…

変わらない…
久しぶりに光を見て懐かしい胸の高鳴りがした。

もう女性とは付き合わない恋愛しないと心に決めていたのに…

この胸のドキドキはヤバい!

このまま立ち去ってしまおうかとも一瞬考えたが光が相手の男から手を掴まれてて今にもホテルの建物に引きづり込まれてしまいそうな状況をみて、とっさに
「光!何してるの!早く行くよ」
そう声を掛けて光の空いていた左手を取り強引に男から引き離しそのまま走り去った。

相手の男は茫然とただ立ち尽くしていた。

良かった。追って来ない。


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