君は知らない
光の手を握りながら暫く歩き続けた。
光は驚いた表情を見せながら何も喋らない。
俺の事分かるだろうか?
光が何か喋りだすのを待っていたら

「あの、私の名前どうして?」
怪訝そうな顔をしながら俺の顔をじっと見る光に、いいようのない怒りを感じ思わず、

「何やってんだよ!こんな所で!」


怒鳴りながら彼女の手を強く握り返し足早に歩き出した。

「え!ち、ちょっと」

驚きながらも俺と一瞬に歩き出す彼女にひとまずは安心した。

でも俺の事覚えていない様子に寂しさを感じた。光と久しぶりに会えて嬉しかったのに…


とりあえず男の姿が見えなくなるまでは、このまま歩き続けようと思っていたら

「待って」

そう言って彼女は足を止めた。

「あの多分だけど助けてくれたんですよね。ありがとうございます。御名前聞いてもいいですか?」

そう言って光は俺を見つめ微笑んだ。

やっぱり!俺の事覚えてない!

いくら年数経っているとはいえ、面影とか残ってるだろうし俺彼女に一度告白してるから記憶の片隅に残っているだろうと思っていたから彼女の言葉はさすがにショックだった。
悲しみが苛立ちとなり光に

「結城 一馬だけど覚えてない?早乙女 光さん。通称ヒッキ」

早く思い出して貰えるよう当時呼んでいたたアダ名も合わせて言ったら彼女の顔色がみるみる変わり

「いったい私に何の用?また当時みたいに笑い者にするの?」

といきなり俺に噛みついた。

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