ああ、初めまして。
memory:1
「まあ、とにかくよかったですよ。
なんとか記憶が戻りましたね」
見た目からも、口調からも伺えるほど
朗らかな私の担当医が
ニコニコと笑いながら言う。
「先生、本当にありがとうございました」
そう言いながら涙ぐむのは私の母親。
「本当にお世話になりました」
そう言って私の頭を撫でるのは私の父親。
私は簡単に言うと、交通事故に遭った。
そして、
半月ほど病院のベッドの上で寝ていたらしい。
この前に、
目覚めたものの、脳への衝撃が強くてか
一時的な記憶喪失になった。
私が目覚めたその日は、
結局、記憶喪失なことだけを言うだけ言って
すぐに眠ってしまった、らしい。
だけど、次の日には思い出していた、らしい。
正直、私はそのときのことを覚えてない。
だから、全部人伝てに聞いたもの。