ああ、初めまして。
「おーい!」
フロントに着くとすぐに、
入り口の近くで私たちに向けて大きな声で、
全身を使って手を振っている人がいる。
「ちょっと、純也!!
ここでそんな大きな声出さないで!!!」
お母さんが慌てて、目を吊り上げながら
小走りで彼、…兄の元へ行く。
「ごめん、ごめん。
気づくかわかんなかったからさ」
「それぐらい、わかるわよ。
全く……って、あら、悠太くん?」
私はお父さんとのんびり歩きながら、
2人の元へと向かうも、
お母さんの言葉に耳を傾けていたので
私の視線は自然と“悠太くん”へと向ける。
「どうも」
言葉は短く、なんて無愛想かと思いきや
表情を見るとそうではない。
ふわりと柔らかく笑い、
目尻は少し垂れた気がする。