オール ゼロ
優夜が、無事に逃げたあと、家の中は静かになった。
「なにをした?」
男が私にそうたずねる。
「……今のが私の能力、5分間の視力の低下と引き換えに許可したものに触れるとしばらくの間はそのものは見えなくなる。あとついでに、同じ5分間の聴覚の低下と引き換えに触れたものをしばらくの間無敵にする。」
体のあちこちに穴があいている。巻き添えを食らったのだ。
「なぜ自分にもしなかった?」
「…自分には反映されないのよ」
男が銃を再び構える。
「最後に言い残すことは?」
「…あの子は……手加減をされるのが…嫌なの……また会うことに…なっても…容赦なくやって……」
男は頷くと、引き金を引いた。
「わかった」
私は目を閉じ、溢れ出る涙を服で拭いた。
頭部に痛みが走る。聴覚が低下したため、銃声があまりきこえなかったんだろう。
「生きて………優夜……神と人の…あい……だに生まれた……私…の子供……」
それ以上は口の中に溢れ出てきた血のせいでうまく言えなかった。
「家に火をつけろ、退散だ」
男がそういいながら外へ出た。
もう、なにも聞こえなくなり、見えなくなり感じなくなってしまった。
(待っていよう)
とても知っている声が聞こえた。
(ええ、あなた)
人間の父親と神の母親、そして前代未聞の神と人の子、少年優夜。
これは、神と人の間に産まれた優夜の物語である。
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