歌で想いを…
体育館に向かう途中…
「今回、お前を呼び出した理由なんだがな
お前も知ってるだろうが、この時期は夏の全国大会の出場を決める大会があるだろ?」
「あー、そうですね」
「で、こっからが本題なんだが…歌の担当者が急遽、出られなくなってしまってな。」
「まさか、それを俺がやるんですか??」
「…頼む!!
お前しか、頼めるやつがいないんだ!!」
中尾は、顔の前で手を合わせながら必死な顔で恋に頼んできた。
「……ハァ
他にいなかったんですか?
てか、その前に卒業生とはいえ部外者が出ていいんですか?」
「それが、歌を担当するはずだった奴がかなり上手いヤツでな。
それの後任を任されるというので皆、プレッシャーでやりたがらないんだ。
本部に頼み込んで、卒業生などの関係者なら特例で許可が降りてな。」
「……はぁ。
そこまでされたんなら、断れないじゃないですか。」
半分、呆れたような顔で中尾の頼みを聞き入れた。
「…っ!!
じ、じゃあ、」
「ちなみに、部員の許可は?」
「………」
「まさか、取れてないんですか?」
「…い、いや、何人か反対がいてな」
「どうするんですか」
「お前の歌唱力でなんとか…」
「歌唱力でって言われても」
安易に返事を出したことを少し後悔する恋だった。
そんな会話をしていると、いつの間にか体育館についていた。