歌で想いを…
…ガラガラガラッ
体育館の扉を開け、中尾と2人で入ると…
「集合!」という声と共に先程から部活を行っていた部員が中尾の周りに集まってきた。
「あー、報告が一つある。
今回の大会で、歌の担当者が急遽出られなくなったのは知ってるな?
そこで、代わりをコイツに任せる事にした。」
……ザワザワッ
中尾の言葉の後、すぐに部員は騒がしくなった。
「あのー」
部員がざわついてる中、1人の女子生徒が中尾に話かけた
「ん?
どうした?花井」
「その方は、先生とどういう関係なんですか?
それに、いきなりソロを任せるのは…ちょっと…」
「あー、俺はこの学園の卒業生で
ダンス合唱部の初代リーダー」
恋は、頬をかきながら女子生徒に答えた。
「えッ!?
じゃあ、あの有名な!?」
生徒たちは、目を見開き驚いていた。
「有名になってたんですか?俺」
「お前が卒業して以来、全国には行ってないんだよ。だから、全国大会まで行ったお前らの代は有名なんだよ。」
「へぇー」
「あ、あの!
ほんとに引き受けてくれるんですか!?」
「歌の担当のこと?
あぁ。顧問の中尾先生にすごい説得されたし。
そういや、反対もいたって聞いたけど…この様子じゃ大丈夫そうだね。
で、やる曲は?」
「……
お前の代から変わってないよ」
「…………あの曲か。」
「あ、恋。
伝えたいことがあるから廊下にきてくれ。
お前らは、練習を再開しててくれ」
「はい!」
中尾は生徒達にそう指示すると、恋を連れ体育館をあとにした。