歌で想いを…
…体育館前。廊下
「伝えたいことってなんですか?」
「伝えたいことは、3つだ。
まず1つめは、今年からダンスと歌のソロの発表が加わったこと。そして、そのダンスのソロを中野に任せたこと。」
「……そうですか。ダンスソロはいるんじゃなかったんですか?」
「あんまり驚かないんだな。その発表では同じダンスソロは使えないんだよ。」
「驚いてますよ。充分。
使えないってどういうことですか?」
「…そうか。今大会の査委員長の意向らしいんだ。」
「そうですか。竜に連絡はしたんですか?」
「あぁ。今、むかっる最中だそうだ。うちにはダンスソロの担当者が1人しかいなかったから部員も納得済みだよ。」
「了解です。」
「2つ目は、その発表についてもう1つ。
その発表にお題があってな
それに合わせて曲を考えて、発表するらしいんだ」
「お題…ですか
曲を考えるって、自分で作るとかですか?」
「あぁ、審査委員長が決めたらしいがテーマは、「夏」だそうだ。
曲については、自分で作ってもいいし、あるものを使ってもいいみたいだ。」
「わかりました。
3つ目はなんですか?」
「あ、あぁ。その…審査委員長のことなんだ。」
「審査委員長のこと、ですか?」
恋は不思議そうな顔で中尾の言葉を待った。
「その審査委員長が、実は…仁……なんだよ。」
「………っ!!
仁って、まさか…」
「あぁ。そのまさかだよ。」
中尾から聞かされた審査委員長のこと。それは、恋の顔色を変えるには充分すぎる内容だった。