Bitter Love

第１章 アシスタント

Carina(カリーナ）

美容業界では有名なサロンの一つ。

社長の大原学（おおはらまなぶ）が作ったサロン。

都内に３店舗を構え、若い女性から年配の女性まで幅広い支持を集めているサロン。


櫂がここを選んだ理由は二つあった。

1つ目は兄がいった有名なところよりももっと有名なところが良かったから。

2つ目は社長の大原さんの境遇が櫂に似ていたからだった。

昔読んだ業界誌の中に大原さんの特集が組まれていた。

それを見た櫂は大原さんに憧れて理容ではなく美容の道を進んだ。


Carinaの試験内容は大原社長との１対１の面接と実技試験だった。

これまでに学生との両立で雇ったスタッフは一人もいない。

募集要項にも専門学校卒と書いてあった。


しかし櫂は諦めなかった。

直接電話をして面接だけでもしてくれないかと頼み込んだのだった。


Carinaの面接は毎年３０人ほど受験する。

合格するのはたった４人。

みんなスーツの中一人だけ学生服できた櫂はみんなにジロジロ見られていた。

最初に本店にいるとても綺麗なレスプショニストの女性が

今日の流れを説明した。

櫂以外の学生は最初に実技試験。そのあと面接。

学生が実技試験を受けている間に櫂は面接を受けることになった。

ガチガチだった。

これまでに感じたことのない緊張を味わって一人大原社長が

待っている部屋へと入っていく。