保健室の先生と私。



「今年で梨々華も3年生でしょ?子育ても早いわねー…」



「うん…」



「寂しいわぁ(笑)」



ちょっとだけお母さんの涙目に釣られそうになった。



何か寂しいなって。



子供だった自分も、社会人になってくんだなって思うとさ。



「あ、先生からだ。」



電話が鳴ってる。



急いでスマホを片手にベランダへ。



「もしもし?どうしたんですか?」



「いや、特に要件ないけど。」



何の為の電話だよ。



「電話代勿体無いですよー。」



「大人みたいなこと言うなよ(笑)」



「フフ。」



思わず笑い声に釣られる。



「何か梨々華と話してると時が早いわ。」



先生も同じこと考えてるんだな。



「私だってそう思うし。」



「そっか。」



「でも先生となら時間過ぎるのも悪くない!」



「どういうことだよ、それ(笑)」



「へへ(笑)」



先生となら一緒に歳を取れると思って!



言わないけど。



「またな。」



「はい、またっ!」



これが先生と最後の会話だった―――。
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