保健室の先生と私。



結局、10分くらい重なってたと思う。


なんだか退かす気にもなれなくて。



「授業が終わっちゃったね。ごめんね?英語途中で邪魔したりして」

「え、あ、はい…大丈夫です」



離れた手。


まだ温かい温もりが残ってる。



「今日は洗濯日よりだなぁ」



山崎先生の背中。


あんなに大きくて、広かったっけ。



「一人暮らしですか?」

「そう」

「家事とか出来るんですか?」

「んー…まぁー大体はね。料理にも最近挑戦しててさ。今度食べてよ(笑)」



きっと最後の言葉。


小さく呟いたんだろう。


何も返せなかった私。


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