保健室の先生と私。
男子はポケットから鍵を取り出すと、慣れた手つきで開けている。
そんな光景に、ひとり目を丸くさせながら見ている私。
「どうぞー」
もしかして……この人。
「保健室担当の山田蓮斗(やまだ れんと)。よろしくなぁー」
あ、やっぱり教師なんだ。
白いシャツを着崩して着てるから、随分と不真面目な生徒だなぁとは思っていたけれど。
先生には見えない若さだ。
たぶん。山田先生が生徒と並んで歩いていても、保健室の先生だとは誰も思わないだろう。
「……私は白雪梨々華です」
「ふーん。そこの椅子にでも座りな」
まるで私のことなど興味がなさそうに、長イスに目を向ける先生。