保健室の先生と私。



靴箱には向かわず、階段をただただ登っていく。


階段はオレンジ色に照らされていた。


ここなら誰も来ない場所。


ゆっくりと階段に座る。


夕日に照らされた自分の影を見つめると、なぜか切なくて。


涙が静かに頬を伝って流れた。


「もっと居たかったよ……っ。
 帰りたくないよ…っ。」


こんなこと言ったって、どうしようもないのに。


次から次へと言葉は溢れ出て、止まらない。


自分は独りでも平気だって思ってたのに。


本当は違うのかもしれない……。


山田先生に大事にしてもらって気づいた。


人は人に支えられてるから生きていけるんだ。


強くなれるんだって。


「寂しかったんだね……っ。」


どんな教師にも相手にされず、独りで抱え込んで。


もっと早くに先生に出会っていれば、私は変わってたのかな?


少しは愛された?


「過去ばっか気にして馬鹿みたいっ……!!」


愛されたいわけじゃない……。



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