保健室の先生と私。



「見~つけた」

「え……?」


影が増えた。


「どうしたの?帰るんじゃなかったの?」


山田先生が来るなんて……思ってもなかった。


声を聞くと余計に安心して涙が出てくる。


「……っ。」


ぐしゃぐしゃになっている顔を見られたくなくて、必死に手で隠す。


「隠すなって。顔が見えなかったら心配するだろ……」


大きな温かい先生の手が、私の手を顔から離す。


「誰だって泣き顔なんか見られたくないじゃないですか……」

「だとしても俺は見たい。泣くとか素直で可愛いじゃん?」

「馬鹿にしてるんですか……?」

「してないよ。ただ気持ちを表してて凄いってこと」


先生は逆に褒めるんだ……。


< 91 / 629 >

この作品をシェア

pagetop