それでも僕が憶えているから
千歳は蒼ちゃんに恋をしているのかもしれない。
そんな雰囲気は、わたしも最近感じていた。
もしそうなら、大和には悪いけどわたしは千歳を応援するし、蒼ちゃんが千歳の彼氏になったら絶対大切にしてくれるはず
……なんだけど。
「ホタルがいるからなあ」
ため息と一緒に盛大なひとり言が漏れる。
あわてて周囲を見回し、誰にも聞かれなかったのを確認してホッとした。
学校の近くの市立図書館。
今日ここに来たのは、水原香澄という人物について調べるためだ。
ホタルは昨日、スマホで水原香澄の名前を検索していた。
ということは、この人物がホタルの“目的”に関係していると思ったから。