それでも僕が憶えているから
どうしようかと思案していると、ぶっきらぼうな声が聞こえた。
「じゃあ、お前がまた作れ。今日じゃなくてもいいから」
「えっ」
ポケットに手を入れて歩き始めるホタル。
わたしはその背中を目で追いながら、今の言葉を反芻する。
『今日じゃなくてもいいから』
まるで、このままずっと一緒にいるみたいなセリフ。
今日の続きに明日があって。
そのむこうには明後日があって。
そうやって時間をつないでいけば、ずっと変わらない未来があるような――。
……ん?
いやいや、わたし、何をバカな想像してんの?
この先も変わらずにホタルが存在し続けるわけないじゃない。
なのにそんなこと考えるなんて、まるでわたしがそれを望んでるみたいじゃないか。
ぶんぶんと頭を振って考えを追い払っていると、「真緒っ」と聞き覚えのある声がした。