それでも僕が憶えているから

『正直に申し上げますと、わたしは今までこの病気の患者さんを診たことがありません。まだ解明されていない部分が多く……本当に存在する病気なのかすら、専門家の中でも意見が分かれることがあるんです』

『そんな……。じゃあ、蒼はどこで治療を受ければいいんですか』

『もしよければ紹介状をお書きします。神奈川なので少し遠いですが、すばらしい先生ですよ』

『ぜひお願いします!』


数日後、両親とともに神奈川県の病院を訪れた。

個人経営のこぢんまりとしたクリニック。白髪にまんまるした体型の男性が迎えてくれた。


『はじめまして。蒼くん』


あのとき青山先生に出会えたのは、とても幸運なことだろう。

あの出会いがなければ、俺は普通の学校生活すら経験できなかっただろうから。

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