それでも僕が憶えているから

……ごめん、ホタル。こんなの完全な自己満足だってことはわかっている。

でも、もうこれで最後にするから。
ちゃんと終止符を打つから。

これからはよけいな感情なんか捨てて、まわりに迷惑をかけずに生きていくから――。


「真緒ちゃん」


凪さんの困ったような声にハッとした。顔を上げ、あわてて苦笑いを作る。


「すみません、いきなりこんなこと言ってワケわかんないですよね」

「ううん、大丈夫。でもそのハンバーグって、本当は蒼のために作るわけじゃないよね?」

「え」

「ホタルのため、でしょ?」


凪さんの口から出たその言葉に、わたしは耳を疑った。


「どうして……ホタルのことを知ってるんですか?」
< 263 / 359 >

この作品をシェア

pagetop