それでも僕が憶えているから
……いいよ、もう。そこまで気に入らないのなら捨てちゃってよ。
わたしのことなんて、粗大ゴミみたいにさっさと捨てちゃえばいいじゃん。
邪魔だ邪魔だと言われながら、いつまでも部屋のすみっこに置かれている粗大ゴミの身にもなってよ。
おじいちゃんの罵声が頭上で響いている。いつもいつも、わたしを罵ってきた低い声。
この声が優しく名前を呼んでくれたことなんか、なかった。
ずっと愛されたかった。
受け入れられたかった。
いい子じゃなくても、役立たずでも、無条件に愛してもらえる安心な場所が欲しかった。
あなたはこの世界にいてもいいんだよって、誰かに抱きしめてもらいたかった――。
「……めて。やめて。やめて、もう嫌だ!! もう嫌!!」
自分の声の大きさにビックリして、喉からひゅっと変な音が漏れた。
静まり返った車内で、スピーカーから無線の音声だけがノイズのように聞こえている。
おじいちゃんとお母さんの視線が、わたしの顔に突き刺さって痛い。