それでも僕が憶えているから


『じゃあわたし、一緒にお父さんを探すよ』


突然そんなことを言い出したあいつ。僕の目的が、蒼の父親を探すことだと初めて教えたときだ。


『何か勘違いしてないか? お前に話したのは嗅ぎ回られるのがウザいからだ。別に手伝ってほしくなんか』

『わかってる。別にあんたのためじゃないよっ』


そう、あいつが僕に協力すると決めたのは蒼のため。
さっさと目的を果たして僕に消えてほしかったから。
ハンバーグだって、僕じゃなくて蒼の体のためだ。

だったらこっちも、お前を利用してやる――

そう思って、蒼の父親探しを手伝わせることにした。




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