それでも僕が憶えているから

……ああ、もう、本当だね。わたしたちってバカばっかり。

不器用で、失敗だらけで、なのになぜだろう、そんな自分も含めてこの世界が今は愛おしい。


「よし、ハンバーグ食べよう!」


わたしは赤い顔をごまかすように、勢いよく立ち上がった。


「ちょっと冷めちゃったから温めるね」

「また煙が出るのか?」

「だから湯気だってば!」


なつかしくてくだらないやり取りに、泣きたいくらい胸が温かくなる。

もしもホタルの幸せの先に、わたしの居場所があったなら、それ以上の幸せなんてない。

心の底からそう思った。




     * * * 


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