それでも僕が憶えているから

……蒼ちゃん。

わたしが秘密を知っていること、黙っていてごめん。

だけど蒼ちゃんは、わたしとホタルが会ったことを知らないから。
それをわたしの口から伝えれば、蒼ちゃんを深く傷つけてしまう。

そして、おばさんも。

おそらくおばさんは何かを知っているんだろう。
けど、わたしからはもう聞かない。

せっかく体が良くなってきたのだから、よけいな負担をかけたくない……。


「蒼ちゃん。アイスのお礼ってわけじゃなんだけど、これ」


アイスを食べ終えたわたしは、カバンから小さな包みを取り出した。

きょとんとしながら受け取った蒼ちゃんが、包みの上から感触を確かめて、疑問形でつぶやく。


「……ブレスレット?」

「ちょっと作ってみたの」

「まじで!?」
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