フカミ喫茶店のワケありアンティーク


現在午前8時半。喫茶店は午前9時オープンのはずなのに、みんな来るの早くないだろうか。

「私、もしかして来るの遅いですか?」

不安になった私はカウンターに近寄ると、触り心地のよさそうな布でカップを磨いている深海さんに尋ねてみる。

「いえ、早いくらいですよ」

「でも……」

すでに出勤している2人に視線を向けた私を見て、納得した様子の深海さんが「あぁ」と頷く。

「空くんは私の親戚の子で、拓海くんはこの喫茶店のオーナーのお子さんなのです」

「あ、そういう繋がりだったんですね」

どうして、この3人が喫茶店で働いているのか、気になってたのでスッキリした。

「ふたりは、訳あってこの喫茶店の2階の部屋に住んでいるので、来春さんより早いのは当たり前なのですよ」

「えぇっ、住んでるんですか!?」

それはまたビックニュースだ。拓海先輩の家でバイトしてるだなんて学校の人に知れたら……。
考えるだけで背筋が凍る。
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