両手いっぱいの花束をあなたに


「決まったわけじゃないし、好きってだけで生き残れる世界でもないからな」


そう言った颯の顔は、すこし苦しそうだった。


「颯、どうし……」

「謙遜だろ、颯の腕は確かだしさ!」


心配で、声をかけようとしたら、同じ部活の男子に遮られてしまった。


「彼女くらい、俺らに譲れよなー!!」


周りの男子達から、ひやかしが飛んでくる。

なんとなく、聞けない雰囲気で、私はもやもやとしながら、颯を見つめる事しかできなかった。


「花音先輩は俺の彼女だし、譲るとかねぇよ。手出したら。ぶっとばす」


颯は、本気で仲間を睨み付ける。


それに、「ヤバい」と思ったのか、嘘みたいにみんなが、はけていった。





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