両手いっぱいの花束をあなたに
ーピィィィィーッ!!
「颯、みんなも、練習戻って!」
金髪のポニーテールに、赤のジャージを着た、女の子が、首からぶら下げた笛を持って叫んだ。
「マネージャーじゃん!」
「やべ、怒られんぞ!!」
すると、バラバラと部員達が練習を再開する。
その子は、私たちの前に歩いてきた。
「颯、練習戻って」
「すんません、育先輩。それじゃ、えと……」
颯はそう言って!ガサゴソとズボンのポッケを漁る。
そして、紙切れのような物を出すと、私に手渡した。
「そういえば、聞いて無かったと思って。俺の連絡先、今日電話して?」
「っ!!」
そっか、私たち付き合ってるのに、連絡先も交換してなかったんだっけ。
颯から渡された連絡先の紙を、ギュッと胸に抱く。
「必ず、必ず電話するから!部活、頑張って!」
「っ!!……おう、待ってる!」
颯は、嬉しそうに笑って、練習に戻っていく。
そんな颯の背中を見送っていると、「あなた」とマネージャーの女の子から声をかけられた。