両手いっぱいの花束をあなたに


家に帰って、店の手伝いやら夕食やら、お風呂やら…全て終った頃には、21時を回っていた。


私は、パジャマ姿のまま、ベッドに座り、スマホと颯の連絡先を交互に見つめる。


「わぁ、なんか緊張する……」


直接会うより、電話の方が緊張するのって、何でだろう。


顔が見えないから?

家だから?


いくら電話ごしでも、髪もお風呂あがりでボサボサ、パジャマだし、武装してないから、なんか恥ずかしい。



颯からは見えないけど、その…なんとなくね?


かれこれ、スマホを握りしめて15分が経った。

登録まではしたのに、その先に進めない。


「よ、よし……っ」



ここは、女を見せろ、花音。

私は、意を決して、登録した颯の名前を「うりゃっ」と押す。







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