両手いっぱいの花束をあなたに
バスに乗り込むと、先に乗った美緒が2人掛けの椅子に座って、手を上げていた。
「花音、こっち!」
「うん、美緒ありがとう」
その隣に腰かけると、バスはブロロロロッという音を立てて発車した。
歩いていた時とは比にならない早さで、イチョウ並木の道を進んでいく。
「あ……ねぇ、花音。あれって1年の松島 颯くんじゃない?」
「ふわぁ……、んー?」
窓の外を見て、声を上げる美緒に、私は適当に返事を返す。
それよりも、眠くなってくるなぁ…。
このバスの揺れがまた……眠気を誘ってくるからいけない。
「あ、颯くんだ!」
「自転車乗っててもカッコイイんだよねー!」
同じバスに乗っている女の子達まで話している。
そんなに、人気者なんだ…。
美緒も知ってるなんて、さすが、女の子はミーハーだなぁ。