両手いっぱいの花束をあなたに



バスに乗り込むと、先に乗った美緒が2人掛けの椅子に座って、手を上げていた。


「花音、こっち!」

「うん、美緒ありがとう」


その隣に腰かけると、バスはブロロロロッという音を立てて発車した。


歩いていた時とは比にならない早さで、イチョウ並木の道を進んでいく。


「あ……ねぇ、花音。あれって1年の松島 颯くんじゃない?」

「ふわぁ……、んー?」


窓の外を見て、声を上げる美緒に、私は適当に返事を返す。

それよりも、眠くなってくるなぁ…。

このバスの揺れがまた……眠気を誘ってくるからいけない。


「あ、颯くんだ!」

「自転車乗っててもカッコイイんだよねー!」


同じバスに乗っている女の子達まで話している。

そんなに、人気者なんだ…。

美緒も知ってるなんて、さすが、女の子はミーハーだなぁ。




< 11 / 351 >

この作品をシェア

pagetop