両手いっぱいの花束をあなたに
「それは、俺、花音先輩の彼氏だし、ただでさえ、後輩っていう壁があるから。俺だって、ドキドキさせてーつうか…」
「私の心臓がもたなくなっちゃうよ…」
「それくらい、俺の事考えてて。俺も、花音先輩の事ばっか考えてるんだから」
そう言って笑う颯は、やっぱり私より余裕がある。
なんというか、私、翻弄されてるなぁ…。
「俺は、花音先輩しか見てねーから」
「う、うんっ」
あぁ、あんなに不安だったのに…。
不思議、不安にさせるのも、そして安心させてくれるのも、全部颯っていう存在だなんて…。
赤い、シクラメン…。
『嫉妬』の意味を持つこの花の花言葉の意味を、私だけを見ていて欲しいって気持ちを、今日初めて知った。