両手いっぱいの花束をあなたに



「珍しいとは失礼だよ、お母さん」


苦笑いを浮かべると、お母さんは「だって」と吹き出す。


「低血圧な花音の声に張りがあるんだもの。お母さん的には、この間ガーベラをプレゼントした彼と何かあったんじゃないかって、思うのよね~」


ードキッ

出た、お母さんの必殺『読心術』。

お母さんの勘の鋭さには、感服するよ……。


「へ、へぇー……」


ニヤニヤとするお母さんから、私は逃げるように視線を逸らした。


「彼氏?彼氏が出来たの?あの時、ちょうどレジにお客さん来ちゃって、姿を拝めなかったのよねぇ~」


拝むって!!

心の中ですかさずツッコム。

颯は、いつからご利益のある仏像になったの。


恋愛の事となると、無駄にテンション高くなるのは、何歳になっても、女の子だからだなぁ…。






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