両手いっぱいの花束をあなたに


ー神様、少しだけに大胆になってもいいでしょうか。


私は、手に持っている開きかけの傘をパタッと閉じて、ビニール傘を持っている颯に駆け寄る。


「は!?か、花音先輩っ!?」


ーパシャッ、パシャッ


小さな水溜まりを何度か踏みながら、傘も差さずに駆け寄る私に、颯も駆け寄る。


そして、颯の傘の中へと入ると、私は笑いながら颯を見上げた。


「へへっ、成功。颯と相合い傘、したかったんだ」


2人で傘を開くと、その分颯との距離が開いちゃうし…。


颯と相合い傘して、帰りたかったから…。


やっぱり、彼氏と相合い傘は、女の子の夢だもん。





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