両手いっぱいの花束をあなたに
「っ………」
「颯??」
絶句して固まっている颯に、私は首を傾げる。
すると、颯の顔がだんだん赤くなってきて、傘を持たない方の手で、私の頭をポンッと撫でた。
「朝から、何でそんな可愛い事すんだよ……っ」
「か、かわっ!?」
「あーっ、今すぐ抱き締めてぇー!!のに、傘が邪魔すぎる!!」
颯はなんだか、大変恥ずかしい台詞を叫びながら恨めしそうに私を見つめる。
「っ、今はこれで我慢か……」
「あっ……」
颯は、傘を持っている方の右腕に、私の左を掴んで乗せた。