両手いっぱいの花束をあなたに


「花音先輩……顔、すげー赤ぇけど……」


私の顔を見た颯が、目を見開いて、私を見つめる。


「私が……っ」


この赤い顔を見られた事が恥ずかしすぎて、伝えられた想いに胸がいっぱいいっぱいになって…。


ーどうしよう、言葉がうまく出ない。

でも、伝えたい…颯、私も颯の事でいっぱいなんだって!!


「こんなに赤い顔してるんだよ!重い…なんて、思ってるように見えるっ?」


「っ!!……そっか、良かった。う……嬉しすぎて、死にそーだっ」


「あははっ、何それ!」


ー私も…嬉しすぎて死にそう。


だから、それを誤魔化すように、笑う。


あぁ、神様。


今日は、雨を降らせてくれてありがとう、颯とこんなに近くにいられる″今″に、すごく感謝してます。


普段なら、神様になんて話しかけたりしない。

だけど、今は誰かに、この喜びを感謝したくなったんだ。



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