両手いっぱいの花束をあなたに
学校の下駄箱に到着すると、颯はパタンッと傘を畳む。
それに、私は少し寂しさを覚えながらも、颯のYシャツの袖をクイクイッと引っ張った。
「花音先輩……っ」
すると、その仕草を見た颯が、なんとも言えないような、赤い顔で私を見つめた。
そして、ポンッと頭を撫でた。
颯の手は大きいから、私の頭がその手に収まる。
だからかな、包まれてるみたいで、安心するんだよね…。
「へへっ…」
それがなんだか嬉しくて、つい、はにかむ。
「っ……可愛いなぁ、本当に、俺の彼女は……っ」
「は、恥ずかしいからヤメテ」
颯、だんだんデレ度合いがヒートアップしてる気が……。
もう、心臓いくつあっても、足りないよ。
私は、両手で顔を覆って、颯の視線から逃げた。