両手いっぱいの花束をあなたに


「こ、こんな所でっ!!」


周りには、たくさんの生徒がいる。

軽く、悲鳴と歓声が上がっていて、私は一人アワアワと慌てていた。



「っ……悪い、我慢出来なかった……」


が、我慢って!!


今度は、颯の一言に、颯の事しか考えられなくなる。

颯が近い……颯の首元から、ライムの柑橘系の匂いがする。

颯、香水つけてたんだ…。

こんなに近づくまで、気がつかなかったな……。


「は、颯……私も、傍にいたいけど、あ、後でねっ」

「うっ……わ、わかった」


颯は、離れるのを惜しむように、ゆっくりと私から離れる。

そんな颯の顔が、恥ずかしくて、見られなかった。



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