両手いっぱいの花束をあなたに
「おやすみぃ~」
パタリと、教室に到着した途端に机に突っ伏す私。
エンジンがまだ本調子じゃない。
やっぱり午前中の授業は寝ちゃうだろうなぁ…。
「ちょっと、これからでしょ?学校は!」
「んー」
目の前に座った美緒がすかさずツッコム。
くじ引きだったのに、美緒と私は前後になるという奇跡が起きて、今に至る。
ーガタンッ
すると、今度は隣に誰かが座ったのが分かった。
「おはよう。……もう寝るつもりか、花音」
「んん……おっ」
私はノロノロとうつ伏せになったまま、顔を少し傾ける。
「つっくん……おはよう」
横を向くと、クラスの秀才、一条 勉(いちじょう つとむ)が黒ぶちのメガネをクイッと人差し指で押し上げながら、私を見る。