両手いっぱいの花束をあなたに
「まさか……花音、女子に連れてかれたの!?」
「すんません、俺のせいッス……。俺、花音、追っかけます!!」
俺は、すぐにその場から駆け出す。
「颯くん!?」
戸惑った美緒先輩の声が、背中ごしに聞こえたけど、それに構っていられない程に、花音の事で頭がいっぱいだった。
誰にも傷つけさせたくない。
出来れば、一生笑って過ごしてくれたらって、心から願うほどに、俺は花音が大事だ。
「花音っ……!!」
無事でいてくれ、頼むから!!
そう強く願って、試合の時より何倍も全力疾走して、花音の消えた廊下を走った。