両手いっぱいの花束をあなたに
【花音side】
「あなた、颯くんの彼女とか、ふざけないでよね」
「え、えと……?」
ー絶体絶命です。
まさかの、『体育館裏に来い』というやつだった。
ーザァァッ
雨音にも負けないほどの、突き刺さるような一言。
屋根のある、体育館に続く、体育館裏の廊下で、私は女子に囲まれていた。
颯くんのファンだ……じゃっかん5名ほどいる女子に、すごい睨まれてる。
「別に、特に可愛いわけじゃないのに、調子のんな!!」
ーバンッ!!
女の子の一人が、私の肩を強く押した。
「っ!!」
その反動で、体育館の壁に背中を打ちつける。
何をされたのか分からなくて、頭が真っ白になった。